ブーメラン


 実験で最も大切なのは「安全」です。しかし、いくら先生から細かく注意をされても、学生は面倒なので、「多分大丈夫やろ」と高を括ってしまいがちです。

 ある学生が学生実験で水酸化ナトリウムの水溶液を調製していた。高校までなら、先生が溶液を準備してくれていたが、自分たちで調製しなければならないというストレスで、溶液のみならず、学生も少々熱くなっていた。
 ようやくビーカーの中の固体もなくなり溶液が調製できたので、そのビーカーを持って同じ班の学生のところに行き、「できたよ」と言って実験台に置いた。しかし、その置き方が少々粗く、はねが上がった1滴が自分の唇に、そしてもう1滴が眼鏡に付いた。学生はすぐに水で洗ったが、唇のひりひりは暫く続いた。その痛みで冷静さを取り戻した学生は水滴の付いた眼鏡を見て、「保護眼鏡をしてて良かった」としみじみ思ったのであった。

実験は丁寧に行なわなければなりません。粗っぽい実験をしていますと、結局はブーメランのように自分に返ってきます。場合によっては他の人に迷惑を掛けることにもなりかねませんので、気をつけなければなりませんね。