3匹の子豚


 試薬は皮膚に付けないのが基本です。しかし、実験をしていますと、注意をしていても予期せず皮膚に付いてしまうこともあります。

 ある学生が実験台の上に少しこぼしてしまい、こぼれ落ちた試薬が運悪くズボンに染み込んだ。すぐに洗ったものの、ズボンの上からでは、十分に洗うこともできず、太ももに痣ができた。慌てて皮膚科に行くと、医者は学生の説明をろくに聞かず、薬を塗った。しかし、症状が改善されるどころか、悪化していった。学生はこの医者ではだめだと思い、他の医者を訪ねた。次の医者も患部を見ただけで、違う薬を処方したが、効果は認められず、さらに悪化してしまった。
 学生は三度目の正直を信じて、他の病院に行った。その医者はこれまでの医者とは異なり、学生がどのような試薬を扱っていたのかを、じっくりと聞き、本で調べて薬を処方してくれた。その結果、ようやく快復したのだが、試薬をこぼしてから実に1ヶ月半もの時間を要したのであった。

試薬には非常に多くの種類がありますので、どのように治療していいのか、わからないのも無理はありません。今回はたまたま本に載っている試薬でしたので、治療ができましたが、そうでない可能性もあります。基本的に皮膚に付けないように自分で注意するしかないでしょうね。