酸化亜鉛系積層光検知層による高感度・低消費電力UVセンサー

研究概要

 酸化亜鉛(ZnO)は可視光には透明ですが紫外(UV)線を吸収します。この特徴を活用し、可視光の影響を受けず紫外線のみを高感度に検出する紫外センサーが実現可能です。これまでのZnO紫外センサーは高感度と低消費電力の両立に課題がありました。

 我々は、安価で大面積化が容易なガラス基板上に、酸化亜鉛と酸化マグネシウム亜鉛を積層した新構造光検知層を用いた低消費電力・高感度・高速応答薄膜酸化亜鉛紫外センサと、それを用いたUV-A紫外センサーの開発を行いました。今回開発した新構造光検知層により、従来の薄膜酸化亜鉛紫外センサーに比較して、UV未照射時の暗電流を1/100に低減することに成功し、 1)微弱な紫外線の高感度検出と2)待機電力の大幅削減、を図りました。これにより、電池で動作するポータブル機器への搭載が可能となり、図2に示すポータブル型紫外線モニターを開発しました。

 これら紫外センサーはヒューマンヘルスケア用途に加え、紙幣の真贋判定などへの応用が期待されています。

 本研究は高知県地域研究成果事業化支援事業(H20.1~H22.3)の支援を受け、(株)土佐酸素、(株)高知豊中技研との共同研究成果です。

図1 溶液霧化状態(左)と製膜装置(右)

図1 紫外線の種類と健康への影響

図2 大気圧形成IGZOトランジスタの特性

図2 ポータブル紫外線モニタ (プロトタイプ)

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