我慢は人のためならず


 普段、実験室にあって当然のドラフトチャンバーですが、故障してしまうと、その重要性が再認識されます。

 ある研究室で、突如ドラフトが故障して使えなくなった。硫黄系の化合物を扱う研究室なので、その状況はつらいものがある。そのまま実験をストップすることもできないので、ドラフトが動いていない状況で実験を再開した。しかし、当然のことながら、事務室から「ガス漏れしていませんか」という電話がかかってきた。事情を知らない他の研究室から苦情が出たようである。そこで、ドアや窓を目張りして臭いを外に漏らさないようにして実験を続けていた。
 同じ研究室にいた学生は「臭いなあ、でも文句言われへんし」と思いながら、我慢をしていた。しかし、そのうち気分が悪くなり、立てなくなった。慌てたのは周囲の人達である。救急車を呼んだり、家に連絡したりと大事になってしまった。後日、指導教員が呼ばれて厳重注意を受けたのは言うまでもない。

他の人の実験に無闇に文句を言うのも考えものですが、気を遣い過ぎて我慢するのも良いとは言えませんよね。