シャンパングラスをピラミッド状に積み上げ、一番上からシャンパンを注いでいくと、下のグラスが順番に満たされていくという光景をテレビで見たことがあります(実際には全く縁がありませんが)。
ある学生がクライゼンフラスコを使って常圧蒸留をしていた。油浴の温度は、予め調べておいた化合物の沸点よりもかなり高くなっているにも拘らず、フラスコの中は静かなままで沸騰する気配を全く示さない。不安になって沸点をもう調べ直したが、間違えていなかった。「なんで沸騰せえへんのやろ?」と思いながら、自分の実験操作を振り返ってみた。そして、沸石を入れ忘れていることに気付いた。
学生は慌てて、フラスコの上の温度計を抜いて沸石を落とした。その瞬間、今まで静かであった液面がいきなり突沸し、フラスコの中壁を勢い良く駆け上り、上の口から噴き出した。その液体は下で加熱している油浴の中に入ると、そこで再び沸騰し、その勢いで油があたりに吹きこぼれた。学生は、突然の出来事に呆然として、油まみれの器具と実験台を眺めていたのみであった。
沸騰したくてうずうずしているところに、沸石というきっかけを与えたので、突沸をしたのも仕方がありません。十分に加熱の温度を下げてから行なうべきですね。