一粒で二度不味い


 「一粒で二度美味しい」というキャッチフレーズのチョコレートがあります。コーティングの部分と中身の部分とで異なった味を堪能できるという意味なのですが、対照的に、1回の作業で2つをダメにしてしまうこともあります。

 ある学生が洗浄して乾燥した注射器を元の場所に戻す作業をしていた。次に使う人が面倒にならないようにシリンジ(外側の筒)とプランジャ(内側の押子)のペアを作りながらしまっていた。ある注射器の相方を探すためにプランジャを挿し込むと、かなりスカスカ感があった。「これやったら漏れてしまうな」と思った学生は、もう少しフィト感のあるプランジャに取り替えて保管場所に戻した。
 翌日、先輩が注射器を使おうとしたところ、プランジャが動かなかった。注射器に印字してある数字を見ると、シリンジとプランジャの数字が異なっていた。「数字が合うてへん組み合わせが他にもあるんちゃうか」と思って探すと、溶媒を吸い上げても針の先端からボトボトと落ちてきたものであった。

スリ合わせのガラス器具では、番号が付いているものがあります。同じ番号のもの同士を合わせて使う必要があるのですが、それを知らずに適当に組み合わせていくと、複数組みの注射器を使えなくしてしまうので、確認するべきですね。