詰まるところ


 機械を使っていますと、不調になることもあります。そのような時は放ったらかしにするのではなく、不調の原因がどこなのかを調べて、対応する必要があります。

 ある研究室では真空ラインを共同で利用していた。真空ポンプから分岐させてコックを取り付け、試料に含まれる溶媒の留去などに用いている。ある学生がいつものように使用していると、どうも減圧乾燥が十分にできていないように感じた。実際に常圧に戻す際も、それほど戻った感もない。減圧計を持ってきて測ると、本来の減圧度から2桁ほど大きな値が出ていた。「真空ポンプが調子悪いんやわ」と思った学生は、ポンプのオイルを交換した。しかし、オイルはそこまで汚れている訳でもなく、交換後も減圧度は復活しなかった。「これはいよいよポンプが壊れてるんかも」と思った学生は、そのことを先生に伝え、在庫のあった新しいポンプを出してもらった。
 真空ポンプを取り替えてスイッチを押してみたが、減圧度には改善が見られなかった。「これは別の原因かも」と思い、ラインのチェックをしたところ、途中に挟んでいるアルカリトラップが詰まっていたことが判明した。詰まるところ、ポンプは元から壊れていなかったのである。学生は古いポンプを元に戻し、新しいポンプを再度倉庫に持って行ったのであった。

オイル交換や重たいポンプの入れ替えなど、重労働の割には得られるものがありませんでした。ラインのチェックを先にやっていれば、もう少し楽だったのですけれどもね。