暴れ馬


 一般的に撹拌にはマグネティックスターラーが用いられますが、大量の溶液や粘度が高い場合には、メカニカルスターラーを用います。

 ある学生が実験装置を組み立てていた。1 Lの三口フラスコにジムロート冷却管と滴下漏斗を、中央の口にはメカニカルスターラーの撹拌棒を取り付けた。その上にモーターを設置するが、斜めを向いてると撹拌棒が折れたりするので、前から横から眺めて撹拌棒が垂直になっていることを何度も確認した。フラスコと滴下漏斗にに試薬と溶媒を入れて、いよいよ実験の始まりである。
 モーターのスイッチを入れると、最初はスムーズに撹拌されていたが、しばらくするとガタガタと音がし始め、モーターがガクガクと動き始めた。学生が慌てて電源を切ろうとしたが、暴れ馬のようなモーターを抑えることができず、撹拌棒は折れ、その勢いでフラスコや冷却管は床に落ちて割れ、中の溶媒が撒き散らされるという悲惨な状況になってしまった。学生はあまりの出来事になす術もなく、立ち尽くしているのみであった。

この原因はモーターをしっかりと固定していなかったことに尽きます。特に背の低い人や、力の弱い人にとって、重たいモーターを高い位置で固定するのは難しいと思いますので、そのような場合は他の人に手伝ってもらうべきでしょうね。あるいは、フレキシブルなワイヤーを使えば、モーターを実験台の上に置いて利用することもできます。