実験室ではトラブルがつきものです。そのような場合、パニックに陥る人よりも冷静沈着に行動できる人が頼りになります。
ある学生が先生のところにやってきて「ジクロロメタンの入ったガロン瓶が割れてるんですけれど、どうすれば良いですか?」と尋ねた。先生は、普段と変わらない学生の態度を見て、緊急性がないだろうと推測して「持ち手が割れたとか、瓶にヒビが入ってるということ?」と尋ねた。「いえ、普通に割れてますけど」との学生の返事に、先生は「それは大変やんか!」と慌てて実験室に駆けつけた。
実験室に着くと、床に溶媒が広がっており誰かの上着が溶媒を吸い上げていた。先生が「この上着は誰のんや?」と声を掛けると、同じ実験室に居た先輩が「それ、僕のんです。わっ!えらいことになってる!」とその時になって初めてガロン瓶が割れていることと、自分の上着が溶媒に浸っていることに気づいた。その先輩は「いつも通りやから、全然気付かんかったわ。こういう時は、ちょっとはそれらしい態度を示せよ。」と学生に言いながら、片付けの手伝いを始めたのであった。
緊急事態の時は、それっぽい態度を示して、周囲に知らせることも大切です。対応が遅れると大事故に繋がることもありますので。「少し慌てながらも冷静に」というところでしょうか。