頭でっかち


 スポイト(ピペット)で液体を吸い上げる時に、きっちりとした量を計るのであれば、ピペッターを用いて吸い上げますが、単にいくら化の液体を吸い上げるだけでしたら、通称「スポイトの頭」と呼ばれる樹脂製品を取り付けて行ないます。

 ある学生がスポイトを使おうとしていた。袋から新品の頭を取り出し取り付けようとしたところ、うまくはまらず、実験台に落としてしまった。落ちた頭はラグビーボールのように不規則に跳ねて運悪くオイルバスに飛び込んでしまった。学生は頭を油の中から救出したものの油まみれの頭を見て、どうしたものかと考えた。そして、ふと「そうや、ヘキサンに浸けて洗えばええわ」と思いついた。
 ビーカーにヘキサンを入れて、そこにスポイトの頭を浸けてそのまま置いておいた。3時間ほど経って、頭を取り出すと、ヘキサンを吸って膨潤した頭は二回りも大きくなっていた。それを見た学生は「これはスポイトも大きいのんに変えなあかんな」と呟いたのであった。

樹脂製品は高分子化合物です。有機化合物の一種ですので、当然有機溶媒との親和性も高く、どんどん浸透していきます。普段は意識から外れていますけれどね。