小学校でも習うことですが、水50 mLとエタノール50 mLを混ぜても100 mLにはなりません。それはお互いに溶け合っているからです。
ある学生がカラム処理の準備をしていた。先輩の卒論を見ると、ヘキサンー酢酸エチル(90/10)の混合溶媒で展開すると、きれいに分離できると書いてあった。そこで、学生はカラム処理を行なってみたが、2成分が分かれることなく一緒に溶出してきた。
「これは書いた本人に訊くのが手っ取り早いな」と思った学生は、大学院生として在籍している先輩のところに行き、「この卒論、間違えてません?」という失礼な訊き方をした。先輩は一瞬むっとしたものの、大人の対応を見せ、どのように混合溶媒を調製したのかを尋ねた。学生は「メスシリンダーに90 mLのヘキサンを入れておいて、そこに酢酸エチルを足して100 mLにしました」と答えた。先輩は思わず、「それや!」と叫んだのであった。
酢酸エチルが予定よりも多く入っていたために、極性が高くなっていたのでしょうね。別々に計り取って、三角フラスコの中で混ぜてから使うようにしましょう。