学生実験は学生にとっては初めての経験なのですが、それを指導する先生は毎年のことなので、マンネリ感があります。特に同じ実験をする場合は、昨年度の実験書をそのまま使うことが多いのではないでしょうか。
ある学生実験では、混合物の中からサリチル酸を炭酸水素ナトリウム水溶液で抽出して、酸性にして析出した固体を吸引ろ取して回収率を算出する実験を行なっていた。最初の混合物も自分で調整するので、自分で混ぜたものを分離するだけという生産性のない実験である。とはいえ、基礎的な実験操作が含まれているので、初学者の学生にとっては重要な実験である。後日、先生がその実験のレポートをチェックしていた。高い数字を求めていないとはいえ、「みんな回収率が低いな。でも初心者やからしゃあないか。」と思いながら、読み進めていた。
ある学生のレポートを読み始めると、その考察には「指定された量では炭酸水素ナトリウムのモル数が足りないので、抽出も不完全であると思われる。」と書いていた。先生が「まさか」と思って、慌てて計算すると、学生が指摘した通り、間違えた数字であった。その学生には最高の評価を与え、翌年の実験書の数字をしれっと直したのであった。
論文の実験項でもそうですが、計算間違いした数字が書かれていることがあります。活字になっていると信用しがちですが、まずは自分で計算をして確認をするべきでしょうね。