代打 俺


 かつては見かけましたけれども、最近は選手兼任監督を見なくなったように思います。代打を送る時に、「代打 俺」とコールできるのは兼任監督の特権であると言えます。

 ある学生は最近悩んでいた。使用している試薬が、どうも体に合わないみたいで、手が腫れるようになってきたのである。卒論発表会を3週間後に控えており、最後の追い込みをかけなければならないのに、データが十分に揃っていない。しかも、晴れはひどくなるばかりで、夜中も痒くてしっかりと眠ることもできない。先生には心配をかけてしまうので、報告もしていない状況であった。しかし、その状況を見かねた他の学生が報告し、とうとう先生の知るところとなった。先生は学生の症状をみるなり、「なんでこんなになるまで報告せんかったんや!」と報告しなかったことに対して叱った。ただ、現実問題として、今更、研究テーマを変えることもできないし、代わりに実験をしてくれそうな学生もいない。そこで、先生は伝家の宝刀「代打 俺」を発動した。
 翌日から先生が実験をして、得られた結果を学生に渡し、学生がそのデータを解析して表を埋めていくという共同作業が始まった。いきなり実験を禁止され、データ処理のみをすることになった学生は、先生に対して申し訳ない気持ちでいっぱいであった。しかし、傍にいる学生にしてみれば、立場が逆転して、学生の指示の下で先生が実験をしているように見え、笑ってしまったのであった。

人によって体質は異なります。アレルギーのように試薬によって、体調不良を起こすこともあります。そのような場合は、我慢をせずに先生に報告をしなければなりません。悪化してからでは遅いですから。